生産者の皆様を訪ねて─その② 魅惑の天城軍鶏

  • 2018/11/17
生産者の皆様を訪ねて─その② 魅惑の天城軍鶏

オーナーシェフ勝又が惚れ込んだ、最上級の天城軍鶏

── 水清く、緑蒼き伊豆天城の山中から

しっかりとした肉質で臭みがなく、それでいて噛み締めると芳醇な旨味と脂が口に広がる天城軍鶏(シャモ)。最高の肉質・味を誇りながらも、生産数が極端に少なく消えつつあったこの「幻の鶏」に惚れ込んだオーナーシェフ勝又が、オー・ミラドーの開店当初に生産者の堀江さん(株式会社サンクソール 堀江養鶏)に頼み込み、レストランで使用したのがきっかけで、料理界からの注目を集めるようになりました。

軍鶏の肉だけでなく、内臓や骨から取ったスープなど、丸一羽をあますことなく使ったフレンチは、まさに地産地消ならではの味わいです。

天城軍鶏とは

軍鶏(しゃも)は、元々タイ(シャム)から伝来し品種改良されてきた品種です。
通常のブロイラーは出荷サイズ(3~4kg)まで育つのが45日程度のところ、軍鶏は120日~150日程度かけてじっくり育てます。また飼育面積もブロイラーは坪あたり40~45羽程度に対し、軍鶏は10羽程度と、手間とコストが掛かる割に出荷値はブロイラーの4倍程度なので、決して生産性の高い商品ではありませんが、味は別次元の素晴らしさを誇ります。

堀江養鶏では、飼料として近隣の豆腐店の湯葉を作った後の豆乳の残り湯などを与えている他、地元の特産品「わさび」の収穫後不要になった葉っぱなどを加えています。殺菌が強いためか病気になりにくく臭いも抑えられています。

肉質はオスよりメスの方が柔らかく、また飼育期間が長いほど肉が固くなるため、雄雌、出荷時期等を料理人の求めに応じてきめ細かくコントロールしています。

  • ヒナの鶏舎

    ヒナの鶏舎

    一定の温度に管理された鶏舎で大切に育てます。鶏舎に特有な匂いはほとんどありません。
  • 天城軍鶏のヒナ

    天城軍鶏のヒナ

  • 成長した軍鶏

    成長した軍鶏

    通常のブロイラーは出荷サイズ(3~4kg)まで育つのが45日程度のところ、軍鶏は120日~150日程度かけてじっくり育てます。
  • 嘴の処理

    嘴の処理

    他の軍鶏や自身を傷つけないようにくちばしを切っています
  • 飼料

    飼料

    飼料に抗菌作用のあるわさびの葉を混ぜています。殺菌が強いためか病気になりにくく鶏舎の臭いも抑えられています。

オー・ミラドーとの出会い

堀江養鶏さんでは昭和62年までブロイラー約1万羽を飼育していましたが、単価が下がり、儲けが出ないことから軍鶏に注目し昭和63年に切り替えました。しかし当時はブランド力が弱く、近隣の旅館に持って行ってもまったく取り合ってもらえず、廃業を考えていました。そんな折に、たまたま天城軍鶏が掲載された新聞記事を見た勝又シェフが長靴持参でやってきて、取り扱ってもらうこととなったのがオー・ミラドーとのご縁の始まりです。

天城軍鶏は「オー・ミラドーが取り扱う軍鶏」としてテレビでも大きく取り上げられた効果もあり、以降取引先が飛躍的に拡大しました。
現状は約4500羽を飼育し、全国約30店舗の料理屋へ出荷しています。

堀江養鶏さんは、事業が軌道に乗り将来性がでてきたので、大分・湯布院で太鼓に励んでいた息子さんも戻ってきて事業企画や営業に励んでおり、現在伊豆近隣の旅館さんとのイベントなども企画し、認知度向上に努めています。

勝又シェフからのひとこと

「フレンチでは、鶏は牛肉よりもランクが上とされる食材です。フランスの名店では、牛肉は出さず鶏やジビエが主体のところも多い。オー・ミラドー開業時に良い鶏を探していたところ、たまたま新聞で堀江さんの記事を見かけ、飛んでいきました。堀江さんの軍鶏は、すべての部位を余すことなく使え、濃厚な旨味と噛み応えが素晴らしい。うちの料理には欠かすことのできない食材のひとつです。」

「堀江さんの息子さんも、養鶏事業の将来性に魅力を感じて帰ってきて活躍してくれています。うちの息子もイギリスから帰り、ミラドーの支配人として頑張ってくれている。今食に関する産業は厳しい状況にありますが、我々のやるべきことは、そういう未来や希望のある仕事を、皆で力を合わせて一緒に創り上げていくことだと思うのです。そうすれば、食産業にももっと若者が魅力を感じて、来てくれるようになるでしょう。」

天城軍鶏は決して「柔らかい肉」ではない。天城軍鶏は、料理人が料理をしたくなるようなバランスの取れた「おいしい肉」を目指している。

ブロイラーの3倍以上の時間をかけ、平飼い鶏舎で育てられている天城軍鶏は、歩き回って自由に動いている分当然筋肉が体につく。しっかりと大地を踏みしめるその姿は、雄々しく大きく、美しい。

そしてそうやって自由に育った肉は、噛みしめるたびに旨味がじゅわっと口の中で広がる。食べて自分で判断してほしい。肥沃な天城の土地で、飼料から試行錯誤を繰り返しながら作り上げられた天城軍鶏という食材を、楽しんで料理して味わっていただきたい。

天城軍鶏 公式サイトより

伊豆の肥沃な大地で自由に育ち、旨味と歯ごたえの最高のバランスを追求した天城軍鶏。
伊豆の美しい山々に囲まれた川沿いにある鶏舎は、山から吹き下ろす風のあたる気持ちのよい場所にあり、最高の肉質を作ります。

その肉はしっかりとしていて臭みがなく、それでいて噛み締めると芳醇な脂が口に広がります。

独自のこだわりと工夫で作り上げた天城軍鶏。その肉質と風味をお楽しみください。

天城軍鶏 公式サイトより



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